相次ぐ学校給食の無償化、でも……「保護者負担が原則」にみえる問題

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大坪実佳子
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 コロナ禍や物価高騰などを受けて、学校の給食を無償化する自治体が相次いでいます。しかし、財源の確保に悩む自治体もあるようです。子どもの給食費は、誰が負担するべきなのでしょうか。学校にまつわる保護者の負担について研究している千葉工業大の福嶋尚子准教授(41)は「1日に1食くらいは、子どもたちにきちんとしたご飯を食べさせるんだと、国が保障してほしい」と語ります。

 ――給食の無償化をする自治体が増えています。特に都市部にも広がっているようです。

 給食の無償化に注目が集まること自体は画期的です。

 ただ、トレンドみたいになっていて、選挙公約で「無償化する」と言っておけば票を入れてもらえるという雰囲気も感じます。本当に「子どもの権利保障としての無償化」を考えているのでしょうか。

 地方自治体に丸投げになっているために、今たまたまお金に余裕がある自治体だけが無償化できるという状況も、おかしいです。

 本来は、財政的に安定している国が全国一斉に質を担保しつつやらないといけないのではないでしょうか。

 自治体が競争させられている構図に、一部の首長や議員がのっかっているのも問題です。子育て支援の「魅力発信競争」になってしまっている。国にとって都合のいい構図に落とし込まれています。

 無償化が難しい自治体は連帯して、国に対して「競争ばかりさせてないで国が責任を負ってください」と陳情するような取り組みが求められているのではないでしょうか。

 ――自治体の財政状況などによって格差が生じるのはおかしいということですか。

 子どもが給食を食べるというのは、基本的人権にひもづく権利だと考えられます。もともと日本国憲法の中で義務教育の無償性がうたわれていますし、生存権や成長発達権に付随する食の権利と深く関係しています。

 現状では、その保障状態に格差が生じているのです。このままではいけません。

 また、自治体任せにしていたら、今は栄養バランスが良くてデザートまでつくような給食を出せていても、無償化するにあたって1品減らしたり、栄養バランスを悪くしたりすることにもなりかねません。

 ――現在、生活保護世帯では給食費の負担がゼロになっていることなどから、国としてはさらなる負担軽減が必要ならば自治体で対応してほしいというスタンスのようです。

 少なくとも困窮家庭の子だけは救済しているから大丈夫、というのは間違っています。

 選別的に給付をしていくと…

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