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 大学入試センターは9日、2025年1月実施予定の大学入学共通テストの試作問題を公表した。新しく導入される教科「情報」を含む6教科12科目の問題が示された。高校教育と大学入試を一体で変えることを目指し、13年から始まった大学入試改革は一つの節目を迎えた。(山本知佳、編集委員・氏岡真弓

 25年の共通テストを受けるのは現高1。今年度から実施されている、思考力の育成を目指す新学習指導要領を踏まえた問題が、各教科・科目で示された。複数の図やグラフ、会話文などを読ませた上で解答させる問題が目立った。問題設定が、授業で議論する場面のものも多かった。

 安倍晋三首相(当時)肝いりの政府の「教育再生実行会議」が「知識偏重の1点刻みの大学入試を変える」と13年に掲げた提言が、今回の改革の出発点だった。大学入試センター試験は共通テストに変わった。英語民間試験の活用や、国語と数学での記述式問題の導入がいったんは決まったが、19年12月までに見送られ、共通テストは21年から全問マークシート方式で始まった。

 今回公表された試作問題では、導入が見送られた記述式問題や英語民間試験を意識した問題がみられた。

 国語は、大問が一つ追加され計5問となり、試験時間は10分延びて90分になった。追加された大問の試作問題は、実用的な文章を読み、複数のグラフや図から学習者がリポートをまとめる場面設定で、「書く」を意識した問題だった。また、英語は「話す」「書く」力を問うことを意識し、場面設定を工夫した問題が示された。

 科目が大きく変わる地理歴史・公民は、①地理総合、地理探究②歴史総合、日本史探究③歴史総合、世界史探究④公共、倫理⑤公共、政治・経済⑥地理総合、歴史総合、公共――の六つの中から最大2科目を選ぶ。配点は各100点で試験時間は60分。

 数学は、「数学Ⅱ、数学B、数学C」(試験時間70分)が新設。新学習指導要領で必履修となった「情報Ⅰ」の配点は100点で、試験時間は60分。

 今年1月実施の共通テストでは「数学Ⅰ、数学A」の平均点が過去最低となり、「長い問題文を読むことで思考する時間が奪われた結果では」との批判があがった。同センターの小野賢志・試験企画部長は、今回の試作問題について「本番でこの分量だと厳しいということはありうる」と述べた。「解ききれない量では受験生の力を正しく測れない」として、今後、模擬受験者として大学生にオンラインで問題を解いてもらうモニター調査を行うなどし、分量や教科・科目間での出題バランスを検討する。

 試験の時間割イメージも示された。情報は2日目で、2日目の午前と午後に分かれていた理科も、連続して受験できる方向だ。