「大学全入時代」突入か 河合塾予想、今冬の入試から 浪人さらに減

田中紳顕
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 大学への入学希望者総数が定員総数を下回る「大学全入時代」が早くてこの冬の入試から訪れる可能性があることが、予備校大手・河合塾の分析で分かった。今後一層、大学間での学生獲得の競争が激化するとみられる。浪人をする受験生は減っているが、今後もさらに減りそうだ。

 河合塾が国の学校基本調査などからまとめたデータによると、2001年度入試では、国公私立を合わせた大学の定員総数は53万9770人で、大学志願者数は75万324人。単純計算で倍率は約1・39倍あった。

 その後、全国の大学の定員総数は毎年約3千人ずつ増加。21年度入試では62万3520人となった一方で、少子化の影響などで大学志願者数は減少し、65万8266人に。倍率は約1・05倍にまで下がっていた。

 これまでの平均的な定員総数の増加率と志願者数の減少率、18歳人口に対する大学志願率などから計算すると、早ければ、来年4月入学向けの入試にも理論上の「大学全入時代」が訪れる可能性があるという。

 河合塾で入試動向の分析をする近藤治主席研究員は「大学間での競争が激化する一方、定員割れしている大学などで今後、入学定員の適正化も進んでいくとみられる」と話している。浪人については、「倍率が下がり、大学に受かりやすくなった。選ばなければ大学に入れる時代。今後も浪人生は減少を続けるだろう」と言う。

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    若新雄純
    (プロデューサー・慶応大特任准教授)
    2022年10月31日20時20分 投稿
    【視点】

    もともとは大学の数が少なく物理的キャパがあったから「選抜」せざるを得ず、結果、入試難易度みたいなものが生まれてしまっただけなので、志願者数と定員がほぼ同じになったのなら、学びたい人が学ぶという本来の理念に立ち戻り、みんな近所の大学に自動的に

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    田中俊之
    (大妻女子大学准教授 男性学研究者)
    2022年11月1日15時49分 投稿
    【視点】

    「大学全入時代」という言葉は、子どもの数が多く競争が厳しかった世代からすれば響く言葉なのだろうと思います。その一方で、当事者である受験生からすれば、有名大学に入りにくい現実は変わりないのに、あたかも全ての大学への入学が容易になったかのような

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