おしゃべり大歓迎 みんなでつくる図書館が神戸・ポーアイに誕生

岩本修弥
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 【兵庫】神戸市の人工島・ポートアイランド(ポーアイ)に10月中旬、新しい図書館ができた。大人と子どもの居場所づくりを合言葉につくられた無料の私設図書館「まちライブラリーみなとじま」。おしゃべり歓迎のちょっと変わった図書館の中は、笑顔と笑い声であふれている。

 「ただいまー」。午後4時ごろ、大きなバッグを背負った小学生たちが図書館に駆け込んできた。名簿に名前を記入し、荷物を広げて宿題をしたり本を読んだり。わいわいがやがやとにぎやかに子どもが遊ぶ光景は、図書館では珍しい。子どもたちの周りでは、お年寄りがほほ笑みながら温かいコーヒーを飲んでいた。

 館内には小さな子どもが遊べる絵本のスペースも。子どもと一緒に来た近くに住む岡部久美子さん(43)は「みんながキラキラしている場所。いろいろな世代の人と交流できる」と笑顔だった。

 商店街の一角にまちライブラリーをつくったのはポーアイに暮らす保育士の藤本絵里子さん(46)ら6人の女性。ケーキ屋、ピアノ教室、本屋――。かつて藤本さんが子どものころに島にあった店は、住民の高齢化が進むとともに閉まっていき、いまはシャッターが下りた空き店舗が並ぶ。「何とか一店舗でもシャッターを開けて、寂しくなった街を盛り上げたい。そんな思いで始めました」と言う。

 島に住む人の多くは、ポートライナーに乗って島外に買い物や仕事に行く。自宅の近くで楽しめる居場所をつくろうと思いついたのが、おしゃべり自由な図書館だった。

 蔵書はみんなで持ち寄る。維持費を捻出するためもあって「ひと棚オーナー制度」を取り入れた。月額2200円で棚を貸し、好きな本を並べてもらう。縦横30センチほどの小さな棚は、約20冊の本を並べることができる。寄贈も合わせて、700冊ほどになった。オーナー特典として、ドリンク券がもらえたり、ワークショップ開催や店番ができる権利をもらえたりする。

 今後は近くの神戸学院大と連携し、ゼミや地域活動の場としても利用してもらう予定だ。藤本さんは「みんなでこのライブラリーを育てて、地域に根付いた場所にしたい」と願う。

 開館は月~木曜の午前11時~午後6時。ひと棚オーナーや本の寄贈を募集している。問い合わせは、まちライブラリーみなとじま(090・2382・7314)。(岩本修弥)

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