保険証廃止「正面突破ではない」 マイナンバー設計に携わった識者

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聞き手・中島嘉克
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 政府は2024年秋に現行の健康保険証を廃止し、すでに保険証としての利用が始まっているマイナンバーカードに一本化する方針を発表しました。任意のはずのマイナカードを事実上義務化することになり、反発の声が広がっています。マイナンバー制度の設計に携わった中央大学の石井夏生利(かおり)教授(情報法)は、政府の手法を「正面突破とはいいがたい」と表現し、「こういう方法を受容するのか、国民の意思が問われている」と話しています。

 ――保険証を廃止してマイナカードに一本化することについて、事実上の義務化ではないかという批判が出ています。

 「もともとマイナンバー制度をつくるときにカードがなくてもいいように制度をつくっています。カードの取得を制度運用の条件にすると、取得しない人が制度から漏れてしまい、国民全員に割り振られる番号制度の趣旨を実現できなくなります。また、個人情報保護の面でも国民からの不安がぬぐえないと考えられていました。さらに、カードをつくるには、本人確認のために行政の窓口に来てもらう必要もあります。そういったもろもろの事情があり、カードを必須にはしませんでした」

 「ですので義務化に動くとなると、取得を任意としていた前提が崩れることになります。カードは必須ではないと言っていたのに変えてしまうわけですから」

 ――それなのになぜ政府は普及を急ぐのでしょうか。

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 「カードを必須にはしません…

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