44万キロ走った住職 散らばった檀家を訪ねて 12年目の寺再建

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酒本友紀子

 ふるさとから55キロ離れた中古住宅に落ち着き、各地の檀家(だんか)を日々、訪ねる。数えればこの11年半、車で走った距離は地球11周分にあたる44万キロ。もう5台乗り換えた。自らは元の場所に帰る予定はないが、この夏ようやく寺の再建を果たした。

 8月上旬。自性院という寺の住職、山岡観舟さん(48)は、墓に立てる塔婆を供養する法要を斎場で開いた。

 「ここで供養するのは11回目。今度本堂ができますので、来年からは向こうでやりたいと思っています」

 そして付け加える。

 「皆さんに『帰るのか』と聞かれる。向こうで1人でいても寂しいので、拠点はいまのままです」。山岡さんは淡々とした表情で語った。

■彼岸に埼玉から270キロ …

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この記事を書いた人
酒本友紀子
福島総局
専門・関心分野
共生社会、人権、司法、国策と地方
東日本大震災

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