新幹線かもめ、特急より「不便」 浦上周辺住民に不満も 記者も実感

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三沢敦
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 西九州新幹線「かもめ」(武雄温泉―長崎)の開業初日からの3連休は多くの観光客でにぎわい、長崎県内各地は「かもめ特需」に沸いた。ただ開業に対する温度差は地域によってまちまちだ。特急がとまらなくなった浦上駅(長崎市川口町)周辺では不満の声も聞く。駅近くに住む記者も「不便になった」というのが正直な気持ちだ。

 浦上駅は長崎線の終点・長崎駅の一つ手前にある。駅近くには長崎大のほか、劇場や商業施設、病院なども集中。学生ら利用客も多い。新幹線が開業する前は、すべての列車が停車する長崎市の主要駅だった。JR九州によると、21年度の乗車人員は県内で4番目に多かった。

 週末の早朝、所用で博多へ向かおうとしていた記者は、浦上駅のホームに立ちながら、「違和感」を覚えていた。

 これまでなら、ここから博多行きの在来線特急「かもめ」に飛び乗るだけで済んだ。だが、記者が待っていたのは反対側のホームに到着する長崎行きの普通列車。新幹線かもめの開業で特急かもめが廃止され、浦上から博多へ向かうにはいったん長崎に戻らなくてはならなくなったためだ。

 長崎への移動時間を念頭に置き、これまでより早めに家を出た。普通列車で長崎駅に着くと、キャリーバッグを引きずって新幹線ホームへ。ようやく「かもめ」に乗り込むと、どっと疲れが襲ってきた。

 気を取り直してさあ出発。ピカピカの車内はとても快適だ。静かにホームを滑り出すと、スピードはぐんぐんアップ。カーブの多い有明海沿いをくねくね走る在来線特急ならではの不快な揺れも、トンネルで山を貫く新幹線にはまったくない。わずか30分ほどで武雄温泉に到着した。

 だが。そこで待っていたのは「リレーかもめ」へのさらなる乗り換え。いかにスムーズな接続とはいえ、重い荷物を携えて2度の乗り継ぎはさすがに面倒くさい――。

 長崎観光の起爆剤として県民の期待を集める新幹線かもめ。長崎の新しい顔として羽ばたいてほしいと記者も願う。

所用を終えて長崎駅に戻った記者「改めてがっかり」

 だが、浦上駅周辺に住み、特急かもめを活用してきた住民にとっては「はしごを外された」という後味の悪さがぬぐえないのも本音ではないか。

 戻ってきた長崎駅では浦上方…

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