裁判長が異動で「国の代理人」に 弁護士らが最高裁と法務省に抗議

根岸拓朗
[PR]

 東京地裁行政処分の取り消し訴訟などを担当する「行政部」の裁判長だった春名茂氏が9月、国が被告となる訴訟で国側の代理人を務める法務省訟務局のトップに異動した人事をめぐり、弁護士有志が10月31日、「裁判の公正に悪影響を及ぼす」とする抗議書を最高裁と法務省に出した。

 抗議書には、国と訴訟で争うなどしている35の弁護団のほか、300人余りの個人の弁護士が名を連ねた。「裁判官らの評議の内容を訟務局長が知っているという異常な事態が生じている」として、こうした人事交流の廃止を求めた。

 取材に対し、最高裁広報課は「最高裁として回答すべきことはないため、コメントは差し控えたい」とした。法務省訟務局は「(今回の異動に)直ちに問題があるとは考えていないが、裁判の公正性や職務の中立公正な遂行に疑念を抱かれることのないよう適切に対応している」とのコメントを出した。

 裁判官が法務省に出向して国の代理人を務めたり、法改正の仕事をしたりする人事は「判検交流」と呼ばれ、以前からある。ただ、春名氏は、行政訴訟を多く抱える行政部から別のポストを経ずに直接、訟務局長に就任した。(根岸拓朗)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら