JR東海、約30年ぶりの新型特急 軽油が燃料なのに「エコ」のなぜ

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内藤尚志
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 JR東海が、在来線の特急に新しい車両を約30年ぶりに投入した。軽油を燃料に排ガスを出して走る気動車なのに、「環境にやさしい」とPRする。その実像は。

 名古屋駅の在来線ホーム。ブルルッと低いエンジン音を鳴らしながら、真新しい車両が入ってきた。

 岐阜・飛驒地方を代表する観光地、高山行きの特急「ひだ」だ。

 停車してドアが開くと、エンジンが止まった。地球温暖化や大気汚染につながる排ガスをできるだけ出さないための「アイドリングストップ」は、自動車でよく見るが、鉄道はまだ珍しい。

〈JR東海〉 収入の7割を稼ぐ東海道新幹線のほか、在来線として東海道線中央線飯田線など12区間を運行。このうち高山線や紀勢線など5区間は架線がなく、気動車を走らせている。利用者数が落ちこんでいる区間もあるが、今のところ廃止は検討しない方針だ。

名車「ワイドビュー」の後継

 この車両が、7月にデビューしたHC85系だ。JR東海にとっては、1995年10月に特急「ふじかわ」で使い始めた373系以来の特急用車両(寝台列車をのぞく)になる。

 いまは特急「ひだ」の一部に使い、12月から富山行きにも広げる。再来年の3月までに紀伊半島を走る特急「南紀」にも投入する。

 JR東海は、架線がなくて電車が走れない区間の特急用車両にキハ85系を使ってきた。将来はすべてHC85系に置き換えるという。

 1989年から走るキハ85系は、JR東海が民営化後に初めて導入した特急用車両だった。各車両に海外メーカー製の高性能ディーゼルエンジン2台をつけ、電車並みの最高時速120キロを実現した。

 見晴らしのよい大きな窓も特徴で、「ワイドビュー」の愛称で親しまれた。経済成長を経て高まった観光需要にこたえ、名車の誉れも高かった。

 後継車をどうするか。この開…

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