制服にスポットライト、職場で輝く個性 老舗メーカーと写真家の挑戦

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伊藤良渓

 全員が制服姿。それなのに、写る人の視線やポーズはばらばらだ。

 横浜市の老舗制服メーカーが手を組んだのは、「集団行動が苦手」と語る写真家。ちぐはぐなコンビによる一風変わった取り組みが始まった。

社長の悩み「制服は必要経費なのか」

 仕掛け人は、1951年設立の制服メーカー「ダイイチ」の3代目社長、花本高志さん(50)。タクシー会社やホテルといった会社の制服や工事現場で使われる作業着などを手がける。

 花本さんは自社の製品について、こう語る。「ユニホームを着ることで、企業のスタッフさんに輝いてほしい。仕事に誇りをもってほしいんです」

 料理人が着る白衣専門店として始まったダイイチ。米軍将校クラブのウェートレスのユニホーム制作などをきっかけに、取り扱う製品の幅を順調に広げてきた。直近の3年で約1万社の注文に応じている。

 それでも花本さんには悩みがあった。

 取引先の企業から見ると、制服は「必要だけど経費がかかるもの」。なるべく安く費用を抑えたいとの要望が多かった。

 制服のネガティブなイメージを払拭(ふっしょく)するには、どうすればいいのか――。

 「仕事へのプライドを持ってもらえる」「仲間との一体感が得られる」――。老舗メーカーとして制服にかける思いをこうアピールしても、目に見えない魅力を伝えるのはことのほか難しかった。「ほかの会社と違う形で、売り込めないだろうか」

出会いは出張先で手にした写真集

 そのとき出会ったのが静岡県…

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