第5回赤字路線の小さな木造駅舎 未来をつなぐ、高校生と特別な切符

有料記事ローカル線物語

川村直子
【動画】山あいを走る最小最遅の「新幹線」=川村直子撮影
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JR予土線

 愛媛県の山あいにある鬼北町。その中心地にある近永駅に朝、2両の列車が滑り込む。「おはようございまーす」「今日の部活さぁ…」。おしゃべりをしながら学生たちが次々と降り立つ。数分の喧噪(けんそう)があり、駅はまた静まり返る。次に踏切が鳴るのは1時間先だ。

 愛媛県と高知県をつなぐ76・3キロのJR予土線は、100円を稼ぐのに1401円の費用がかかる赤字路線。近永駅は、この路線の中では最も乗降客数が多い駅だ。

 木造の小さな駅舎で、切符売り場の竹本精作さん(71)に話を聞いていると、リュック姿の男性がやってきた。「全種類ください」。「あとシュッポとリョウホもお願いしたくて」――。聞けば、この駅は鉄道切符愛好家の聖地なのだという。

 竹本さんは乗車区間を聞き…

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