函館線を貨物線として維持、国が協議へ 北海道やJRと 旅客と分離

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編集委員・堀篭俊材 新田哲史
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 国土交通省は、北海道新幹線札幌延伸でJR北海道から分離される函館線の函館―長万部間(約148キロ)を貨物路線として維持するため、北海道とJR貨物、JR北との4者協議を始める。函館線の同区間について、沿線自治体の多くは旅客路線としては大部分を廃線・バス転換したい意向だ。ただ同区間は北海道と本州を結ぶ貨物の大動脈で、貨物網が寸断される可能性がある。国は農産品などの物流維持のため、異例の調整に乗り出す。

 北海道新幹線は2030年度に札幌まで延伸される予定で、並行在来線の函館線(函館―小樽、約288キロ)の存廃が協議されている。すでに長万部―小樽間(約140キロ)は沿線自治体が廃止・バス転換を受け入れた。

 函館―長万部間は8月末、約1年4カ月ぶりに沿線自治体の協議会が開かれ、新幹線に連絡する函館―新函館北斗間(約18キロ)のみを第三セクターで存続させたいとの意見が目立ち、大部分の廃線が確実となった。

 ただ、函館―長万部間は十勝地方などの農産物や本州からの様々な生活用品を運ぶ貨物の大動脈。国交省は「このままでは北海道と本州を結ぶ重要な貨物輸送が途切れる可能性がある」(貨物鉄道政策室)として、並行在来線の沿線協議とは別に、道やJR2社と協議の場を設けることにした。

貨物網寸断、国内経済全体に影響も

 今後の協議では、道などが出資する第三セクターが線路を保有し、JR貨物が列車を運行する「上下分離方式」を軸に検討されるとみられる。今後、旅客路線の存廃協議の方向性が固まり次第、具体策の検討に入る。

 旅客路線としては大部分が使…

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