コロナ禍で広がる「1on1」 あなたは本音で話せますか?

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松浦新

 上司と部下が1対1で定期的に話し合う「1on1ミーティング」(ワンオンワン)という取り組みが、企業の間で広がっている。部下の悩みを聞いて解決策を考えさせたり、自発的なアイデアを引き出したりする狙いだ。コロナ禍によるコミュニケーション不足の解消策にもなっているようだ。

 「思うようにまわりを仕事に巻き込めない」。損保ジャパン本店企業保険金サービス部の請田(うけた)明香(さやか)さん(34)は6人のチームのリーダーになった4月、そんな「壁」にぶつかった。

 所属する課では月に1度、課長の兼坂仁さん(50)と部下が1対1で30分間話すワンオンワンがあり、早速そこで相談した。ワンオンワンのテーマを決めるのは部下だ。上司は答えを出さず、話し相手になって部下が考える手助けをする。

 請田さんは兼坂さんと話すうちに、「自分が勝手に決めて関係者抜きで仕事を進めようとしたことで、まわりの協力が得られていない」と気づいた。その後は「関係者は誰か」を考えて行動するようになったという。「ワンオンワンのおかげで早く気づくことができた」と話す。

失敗から始め、10年続ける

 一方、兼坂さんは、社内でもいち早くワンオンワンを始めた一人だ。きっかけは2011年4月、課長に昇格し、本社から仙台の保険金支払い部署に赴任した時の失敗だ。東日本大震災の直後で保険金の請求が殺到し、大忙しだった。現場を手際よく仕切っているつもりだったが、新任課長の気負いもあり、部下との間に温度差を感じるようになった。

 そんなとき、別の部署の同期…

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この記事を書いた人
松浦新
経済部
専門・関心分野
不動産、IT、社会保障