救援列車がぴたり横付け まもなく巣立ちの「かもめ」 まさかを訓練

岡田真実

 開業を23日に控えた西九州新幹線(武雄温泉―長崎)で2日、地震や車両故障を想定した訓練があった。長崎県と佐賀県を結ぶ西九州新幹線。両県警や消防と連携し、JR九州社員と合わせて約160人で異常が起きたときの動作や対応を確かめた。

 訓練が公開されるのは初めてで、車両故障で運転ができなくなった場合と、大地震が起きて運転ができなくなった場合を想定して訓練した。

 午前11時ごろ。新大村駅を出発した救援列車は、長崎県大村市内で動けなくなっていた新幹線車両に近づくと、停車位置を調整しながら、ぴたりと横につけた。停車後、車掌がドア付近に駆け寄り、故障車両の車掌と声をかけ合いながら、アルミ製の渡り板をかけ、乗客に避難を促した。

 渡り板は折りたたみ式で、1編成につき3枚ある。スムーズに渡れるよう、手すり代わりにロープを結び、足がすくむ乗客には、車掌が手をとって渡らせていた。

 午後からは、震度7の大地震が起きて運転ができなくなったうえ、乗客から急病人が出たという想定の訓練を嬉野温泉駅付近で実施した。

 二重の異常事態が発生した混乱する状況。乗務員は、両県警、消防と連絡しながら、乗客をけがや症状に応じて分類する「トリアージ」を訓練。重傷者から順番にはしごを使って、線路脇へと救出。担架にのせて歩いて数分の所にある嬉野温泉駅まで避難させた。

 訓練中は、「ただいま運転再開の準備をしております」「停電のために、緊急停車をいたします」と、非常時の車内アナウンスも実施。乗客が混乱しないよう、今の状況やこれからの見通しを説明した。

 訓練後、JR九州の福永嘉之・鉄道事業本部長は、「1回目の訓練よりはスムーズにいったが、社員同士の連絡などで課題も見つかった。社員間で訓練を振り返り、手順やマニュアルを見直したい」と話した。

 博多―長崎間は、武雄温泉駅で在来線特急と西九州新幹線を乗り換える「リレー方式」で運行する。最速は現在より30分ほど短い1時間20分。新幹線のルートのうち、新鳥栖―武雄温泉の区間の整備方法を巡り、国や佐賀県などの間で協議が続いている…

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