部活、何のために あり方をめぐる議論が見落としているものは

有料記事

聞き手・田中聡子 聞き手・富田洸平
[PR]

耕論 部活、何のために

 部活のあり方が見直されている。先生の負担を減らすため、学校外に委ねたり移したりする動きも進む。そもそも、部活って何のためにあるのだろう。見直しをめぐる様々な視点とは。

数少ない「生徒が選べるもの」 高橋健一さん(高校吹奏楽部顧問)

 さまざまに部活が議論されていますが、僕には大切な視点が欠けているように見えます。「学校ってなんなんだ」「人間ってなんなんだ」という根本の議論をせず、部活動だけを取り出して考えているからです。

 今の学校教育の最大の問題は、生徒が選べることがあまりにも少ないことだと思っています。担任を選べない、時間割は決まっている、学ぶ内容も決められている。自分で選んでいないことを、朝から夕方までやっています。自分で選ぶという経験をしなければ、自分の頭で考えなくなってしまう。今は、強制されている勉強だけで自分の価値が決まるかのような感覚を、生徒に与えてしまっています。

部活は何のためにあるのか。記事後半では、小説家の額賀澪さんとスポーツ社会学者の中澤篤史さんが、自身の体験や歴史的経緯をふまえ、部活のあり方をめぐる議論に一石を投じます。

 僕は、人間が生きていく上で…

この記事は有料記事です。残り3191文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    武田緑
    (学校DE&Iコンサルタント)
    2022年9月14日10時42分 投稿
    【視点】

    とても面白い記事だなと思いました。3人の方のそれぞれの意見に「わかる」「そうだよな」と思うところが私にはあります。でも噛み合っていない。その"噛み合ってなさ"がリアルだなと思いました。でも、部活動をめぐるこういう声を可視化して、互いに聞き合

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    常見陽平
    (千葉商科大学准教授・働き方評論家)
    2022年9月14日11時3分 投稿
    【視点】

    ■普通の生徒の普通の幸せの議論を 常見陽平さん(働き方評論家)  部活動をめぐる議論は、ここ数年、勝利至上主義、生徒の練習時間、危険を伴う運動、暴力事件などの不祥事、顧問をする先生の労働時間、学びの場かスポーツエリートを育てる場なのか、な

    …続きを読む