「昭和レトロ」な鉄道会社が迫られた決断 救ったのはファンの底力
「昭和レトロ」で人気増 水島臨海鉄道
近年、人気が高まっている「昭和レトロ」。そこに目を付け集客している鉄道会社がある。
水島臨海鉄道(岡山県倉敷市)では昨年、クラウドファンディング(CF)で資金、約2400万円を集めた。その目的は、保有する旧国鉄時代のディーゼル気動車3両の再生だ。
全国で同社だけが営業運転を続ける「キハ37」。1983年製造で、2013年に主にJR久留里線(千葉県)を走っていた車両をJR東日本から購入。朱色とクリーム色の「国鉄標準色」だった車体を、CFで「新首都圏色」と呼ばれる製造当時と同じ鮮やかな赤色に塗り直した。
同じく現役の「キハ38」。1987年製造で、2013年に主にJR八高線(東京都・埼玉県・群馬県)やJR久留里線を走っていた車両をJR東日本から購入。こちらもCFで「国鉄標準色」だった車体を白色に赤いラインが入った「八高線色」と呼ばれる製造時のカラーリングに塗り直した。
3両の中でも同社の「レジェンド」的存在が、「キハ205」だ。かつて旧国鉄などで、系列をふくめ1千両以上造られ、全国で活躍したキハ20系車両で、同社にも12両が在籍していた。しかし保有する最後の1両だった1960年製の「キハ205」も、2017年3月に現役から引退。年に1回程度イベントで公開する以外は車両基地に留置され、車体全体がさびて所々に穴が開き、バッテリーやエンジンを始動させるためのモーターが故障するなど、年々老朽化が進んでいた。
そんな中、イベントの運営なども担う運輸部旅客係リーダーの大森史絵さん(43)に、決断を迫る声が掛けられた。
「コロナによる売り上げの落ち込みで、もう置いておけませんよ」
廃車を進める、会社の方針だった。
新型コロナウイルス感染拡大…
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