指導必要な高校生2300人、でも足りぬ教員「発達障害の知識不足」
都立荻窪高校の会議室に7月、期末試験を終えた高2の男子生徒1人がやってきた。注意欠陥・多動性障害(ADHD)と学習障害(LD)のある生徒で、週1回2コマの通級指導の授業だ。担当の芳野敦子教諭が、民間の支援員とともに教える。
「試験ちゃんと行けた?」「全部遅刻だけど行けた」。3部制(午前・午後・夜間)の同校は、定期試験は通常と時間が異なる。生徒は「始まる時間は遅いんだけど、変わっているから遅刻しちゃう」という。
端末を見ると、紙で張り出された定期試験の出題範囲を全部写真に撮ってあった。これまでは範囲さえわからず臨んでいた。「すごい。進歩だ。次は遅刻対策だね」と教諭はほめた。
提出物などを確認した後、夏休みの課題と予定を一緒にチェックする。支援員が、特製のカレンダーノートを出した。終業式と始業式、その間の旅行や部活などの日程を確認し、課題をいつやるか考える。
荻窪高校で、通級指導を受けているのは、高2、高3の計7人。高1も7人が2学期からの通級指導を申請中だ。友達とのトラブルが絶えない生徒には怒りを調整するアンガーマネジメントを、言葉の出ない生徒にはじっくりと言葉を引き出す指導をする。
発達障害など特別な指導を必要とする生徒が増える中、高校でも一部を別室で学ぶ「通級指導」の必要性が高まっています。制度ができて5年目。必要な生徒はいても、指導できる教員は少ないのが現状です。
「教員が学べる制度、必要」
担当教員は希望制で決めたが…
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- 【視点】
2021年度から都立高校の通級指導は民間連携で行われています。拙著『不登校でも学べる』の取材で、その連携事業者として都立高校の通級指導にかかわる人物に話を聞いたことがあります。こんなことを話していました。 「通級指導を通した対象生徒と
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