愛媛 園児死亡の水難事故から10年、母らシンポで思い

長田豊
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 愛媛県西条市で2012年夏、幼稚園児(当時5歳)が水遊び中に増水した川で流されて死亡した事故から10年を迎えた。亡くなった園児の母親ら約30人が7月31日に市内でシンポジウムを開き、子どもたちの水難事故防止について語り合った。

 事故は12年7月20日午後、西条市中奥の加茂川で起きた。お泊まり保育で来ていた市内の私立幼稚園の園児31人と引率の園職員8人が川遊び中に川が増水。園児5人と職員1人が下流に流され、吉川慎之介君が亡くなった。その後の裁判などでは、救命胴衣を着用していれば慎之介君は助かった可能性が高いと認定された。

 この日のシンポは慎之介君の母の吉川優子さんと、事故をきっかけに市内で子どもたちの水辺での事故防止などに取り組んできた市民団体が開いた。

 香川県で救命胴衣普及に取り組む森重裕二さんは、4年目に入った県などと連携した取り組みを紹介したり、救命胴衣着用の効果を水槽と人形を使って解説したりした。

 参加者による集団討論では、水中で声が届かず周りに気づかれないまま亡くなる場合が多い水難事故の危険性の高さや、学校のプール授業などで救命胴衣に触れる機会を増やす重要性を指摘する意見が相次いだ。

 シンポの終わりにあいさつした吉川さんは、今後も子どもの水難事故防止に向けた活動を進めるとしたうえで、「慎之介はもういないが、多くの方に出会うたびに生まれてくる子ども一人ひとりの存在の大きさを感じる」などと話した。(長田豊)

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