県と15市町で給食費を補助 物価高騰を受けて上昇分を負担

小山裕一
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 ロシアのウクライナ侵攻や円安による物価高騰への支援策として、小中学校などの給食材料費の上昇分を保護者に負担させず、自治体で肩代わりする動きが静岡県内の市町で相次いでいる。朝日新聞の調べでは、県内35市町のうち15市町が6月議会で補正予算を計上。県教育委員会も県立学校での食材費の値上がり分を公費で負担することを決めた。9月議会に向けて予算化を検討する市町もあり、さらに増える見通しだ。

 給食費の価格上昇分を補塡(ほてん)するのは、県のほか、静岡市浜松市沼津市伊東市など県内全域にわたる。予算規模は15市町と県分を合わせて、10億円以上にのぼり、国の新型コロナ対応の地方創生臨時交付金を財源に充てている。

 静岡市は3億2600万円を計上した。市内の小中学校やこども園などに通う計6万5千人分を対象に、食材料費の10%を助成したり、負担したりする。これまでは献立を考える際、単価の高い食材を少なくするなどしてやりくりしていたという。

 浜松市は「保護者の負担を増やすことなく、栄養バランスや量を保つため」として、1億6750万円の予算を組んだ。中学生は1食あたり12円、小学生は10円、幼稚園児や保育園児らは9円を支援する。

 5162万円を計上した沼津市は食材費高騰分の補塡に加え、小中学生については子育て世代の支援のため、今年10月~来年3月分の給食費を徴収しない。5325万円の予算を組んだ伊東市も、9~12月は小中学生や保育園児らの給食費が免除されるようにする。

 3100万円の予算を組んだ袋井市によると、年間で50トンほど使うタマネギの仕入れ価格が昨年は1キロあたり100円ほどだったのが、最近は300~350円に急騰。タマネギだけで1500万円の負担増になる見込みだという。市の担当者は「子育て世帯の家計負担を軽減する必要がある」と話す。

 清水町は今年度当初予算でまず計上。その後、物価高騰がさらに進んだとして、6月補正予算で追加で対応し、計1062万円になった。町の担当者は「予算を組まなかったら、給食の質を落とさざるを得なかったかもしれない」という。

 6月議会では計上しなかった自治体の中にも、富士宮市島田市焼津市伊豆市などは、9月議会に向けて給食費補塡を盛り込んだ補正予算案を検討している。

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