原発の「安全神話には頼れない」小熊英二さん、判決に見たあいまいさ

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聞き手・渡辺洋介
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東京電力福島第一原発事故で被害を受けた住民らが国に損害賠償を求めた4件の集団訴訟で、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は、国の責任を認めない判決を言い渡した。

 原発をめぐる日本社会の動きを追ってきた歴史社会学者の小熊英二慶応大教授に、判決が問いかけるものを聞いた。

 今回の判決で、電力会社の責任が重くなったともいえます。国の監督責任を狭く解釈した判決と考えられますから、電力会社にしてみれば、国に言われなくても災害を予測して安全対策を施す責任は事業者にあると宣告されたようなものです。電力会社が原発を運転するハードルが上がったとも言えるでしょう。

 そもそも原発とは、核を扱うものです。過酷事故がおきたら民間企業が負担しきれない可能性がある。そのため米国では事業者の賠償責任額に上限があり、それを超えたら大統領が議会に補償計画を提出することになっています。つまり最後は国が補償する。最終責任は国にあるわけです。

 ところが日本では、国の責任が明確でなかった。

最終責任負う制度、反対したのは

 1961年制定の原子力損害…

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