「東電の賠償方針は不公平」 福島・中間貯蔵施設の地権者

福地慶太郎
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 東京電力福島第一原発の事故後、福島県内を除染して出た土の搬入先である中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)の地権者らが、営農できないことへの賠償方針について東電に見直しを求めている。6日に東電と地権者の交渉があり、弁護士や専門家から東電の対応を問題視する声が相次いだ。

 中間貯蔵施設の除染土は2045年3月までに県外で最終処分することが法律で決まっている。国は地権者に土地を売るか貸すか求めていて、どちらかで契約した人もいるが、まだ契約していない人もいる。

 「30年中間貯蔵施設地権者会」の門馬好春会長(65)によると、東電は未契約者には賠償するが、貸した人には賠償しない方針という。対照的に、中間貯蔵施設に運ぶまで土を保管する仮置き場に農地を貸した人には賠償する方針。門馬さんは「営農できないのは同じなのに、著しく公平感を欠く」と、中間貯蔵施設で農地を貸した場合も賠償するよう求めている。

 門馬さんらは6日、東京都内で東電の担当者らと面会した。中間貯蔵施設内の農地を国に貸すと賠償金を支払わない理由について、東電は「相当期間、農地を提供するため営農再開の意志がない」と説明。仮置き場は農地の提供が短期で、「営農の意志がないと判断するのは困難」とした。

 出席した越前谷元紀・弁護士は「農地を貸して得た対価を賠償額から控除するならわかるが、貸したら営農の意志がないと判断するのは論理の逆転」と指摘した。熊本一規・明治学院大名誉教授は、東電の文書で仮置き場への農地提供について「地域の要請で余儀なくされた」などと説明した記述を示し、「中間貯蔵施設も国の要請だ。どう違うのか」と質問。東電側は農地提供が短期か長期かが違うと説明したが、期間の長短の定義は示さなかった。門馬さんらは今後も交渉を続ける方針だ。

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この記事を書いた人
福地慶太郎
くらし科学医療部
専門・関心分野
原子力、福島第一原発事故、生命科学