生活保護引き下げは違法「裁量権を逸脱」 熊本地裁が2例目の判決
国が生活保護基準額を2013年から3年間にわたって引き下げたのは、生存権を保障する憲法25条に反するなどとして、熊本県内の生活保護受給者36人が熊本市などに減額決定の取り消しを求めた訴訟の判決が25日、熊本地裁であった。中辻雄一朗裁判長は、厚生労働相の判断過程に誤りがあったとして、引き下げは生活保護法に反すると認定。同市など自治体による減額決定を取り消した。
判決は、物価の下落を反映して基準額を引き下げる「デフレ調整」などの決定過程について、専門家が議論する社会保障審議会の部会に厚労相がはからなかったことなどを「専門的知見に基づく適切な分析や検討を怠った」と強く批判。生活保護基準の改定に関わる厚労相の裁量権を逸脱・濫用(らんよう)したものと結論づけた。
同様の訴訟は全国29都道府県で起こされており、判決は熊本地裁で10件目。
同じく引き下げを違法とした21年2月の大阪地裁判決では、原油価格の高騰など特異な物価上昇があった08年を起点として物価下落を反映させた点などを、合理性や専門的知見との整合性を欠くと指摘した。
一方、熊本地裁判決は、こうした算定が、審議会部会などの検討を経ていないことについて、「外部の視点に全くさらされていない以上、客観性や合理性が担保されているとはいいがたい」と断じ、政策決定過程の問題にまで言及した。
生活保護基準額は、生存権に基づく「健康で文化的な最低限度の生活水準」を具現化したものだ。今後、それを決定する厚労省と審議会の議論のあり方にも影響する可能性がある。
厚労省保護課は「詳細は承知していないが、生活扶助基準の改定が適法と認められなかったものと聞いている。判決内容の詳細を精査し、関係省庁と被告自治体と協議した上で、今後の対応を検討していく。厚生労働省としては自治体との連携を図りつつ、生活保護行政の適切な実施に努めたい」とコメントした。
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