昭和天皇とヒトラーを並べた動画 反発の声から考える日本社会
ウクライナ政府の公式ツイッターとみられるアカウントが投稿した動画に、ヒトラー、ムソリーニに加えて昭和天皇の写真が掲載され、その後謝罪・削除された。問題の背景を聞いた。
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昭和天皇とヒトラーを並べた動画問題
ウクライナ政府の公式ツイッターとみられるアカウントが投稿した動画に、ヒトラー、ムソリーニに加えて昭和天皇の顔写真と、「ファシズムとナチズムは1945年に敗北した」という説明文を掲載。SNSなどで反発の声が高まったことを受け、先月24日に当該アカウントはツイッターで謝罪し、昭和天皇の写真を削除した動画を再投稿した。磯崎仁彦官房副長官は会見で、日本政府がウクライナ側に写真の削除を申し入れたと説明した。
日本の抗議 理解できるが 橋爪大三郎さん(社会学者)
ヒトラーやムソリーニと昭和天皇を同列にした動画に対して日本政府が不適切だと抗議するのは、理解できます。
3人の肖像には今回、「ファシズムとナチズムは1945年に敗北した」という説明文が添えられていました。
ヒトラーとムソリーニはそれぞれ、ナチズムとファシズムのリーダーでした。両者とも第2次世界大戦が終わる直前に死去しましたが、生きていれば軍事裁判で有罪にされたと思われている存在です。
他方、昭和天皇は敗戦後の極東国際軍事裁判で起訴されませんでした。戦争犯罪人ではないというのが連合国軍側の判断であり、その裁判結果を受け入れることを条件に日本は独立を果たしたのです。
だから、3人を同列にする見解に対して日本政府が抗議をすることは当たり前だとは言えるのです。ただし、問題は別の点にあります。
戦後の米国と日本の特別な関係や、国際社会の中で日本がどう見られているかという視点を通し、社会学者の橋爪大三郎さん、哲学者の高橋哲哉さん、米コロンビア大学教授で歴史学者のキャロル・グラックさんの意見から今回の問題を考えます。
昭和天皇が有罪になっていな…
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- 【視点】
哲学者の高橋哲哉氏は、「今月9日に行われたプーチン・ロシア大統領の演説には、日本を指すと思えるくだりがありました」と指摘されています。私もプーチン大統領の演説を聞いて、まったく同じ印象を持ちました。その部分を逐語的に訳してみると、以下のよう
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