ウクライナ人受け入れは二重基準なのか 「難民」と「避難民」の間で
戦禍を逃れてきたウクライナの人々を、日本政府は「避難民」として受け入れに動いた。一方、保護を求める他地域の人々の受け入れは進んでいない。これは「二重基準」なのか。
難民政策の抜本的な転換を 難民支援協会代表理事・石川えりさん
岸田文雄首相は、ウクライナの人たちの受け入れをロシアの侵攻後に素早く表明しました。これにより社会の関心も高まり、大学や日本語学校、自治体などが積極的に動き、難民支援協会にも過去にないほど多くの支援の申し出が相次いでいます。
しかし政府は今回、ウクライナの人たちを「避難民」と呼び、新たな枠組みで受け入れていますが、これには問題もあります。難民条約でいう「難民」の定義を相変わらず狭く解釈し、「戦争や紛争から逃れた人は含まない」という立場は変えていないのです。
難民条約は70年余り前にできましたが、国際情勢が変化し人権概念も発展してきました。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や欧米諸国は「難民」の解釈を次第に広げ、紛争から逃れた人も難民と認定されうるとしています。
政府はウクライナの「避難民」を90日間の「短期滞在」資格で入国させ、1年ごとの「特定活動」資格に切り替え、更新可能としています。一方、「難民」に認定されれば、送還されず、定住者として5年間の在留資格が認められ永住への道も開かれます。
日本に逃れてきた多くの人々を支援してきた石川えりさんは、難民政策に関わる法改正について警戒すべき政府の動きがある、と指摘します。記事後半では、社会学者の小川玲子さんが、アフガニスタンからの退避と今回の対応を比較。政治学者の宮井健志さんが、難民政策について国民の立場で政府に働きかけていくことの重要性を語ります。
政府が「避難民」にこだわる…
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