ロシアはなぜ力で踏み込むのか 染みついた使命と解放という名の侵略

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聞き手・刀祢館正明
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 国境を越えて隣国ウクライナへと侵攻し、街を、暮らしを破壊し、人々を虐殺する。ロシアの軍事行動に対して、これが現代に行われることか、と思う人が多いだろう。ロシアはなぜこうなのか。長年にわたりこの国の対外行動を見つめ、考えてきた岩下明裕さんに聞いた。

いわした・あきひろ

1962年生まれ。北海道大学教授。ロシア外交、境界研究。著書に「中・ロ国境4000キロ」「北方領土問題」「領土という病」など。

 ――ロシアはなぜ周辺国に力で踏み込むのでしょう。

 「40年近くロシアを見てきましたが、あの国にはミッション(使命)があるんですね。自分たちは偉大である、偉大な民族である、責任があると。周りに対しても自分たちが導かなければいけない、みたいな思い込みがある」

 「帝政ロシア時代も、共産党時代のソ連の時も、ロシア連邦になってからも、基本的に同じです。日本では大国主義はけしからんと言う。でもロシア人にそんなことを言っても、まず理解されない。当たり前じゃないか、みたいな感じ。それくらい染みついています。そうした思いをプーチン氏とその支持者が代表している。この責任と使命のもとで、お前たちウクライナを解放してやるんだと」

 ――やられる側にとってはたまりませんが。

 「邪悪に向かわせる連中がいるから救ってやると。実際にはそこまで言いませんが、そういう感じです」

ロシアの気分を代弁すれば

 ――それは、何から何を救うのでしょう。

 ロシアが言う「解放」は侵略だ、という岩下さん。北方領土問題についても「淡い期待は捨ててください」と言います。インタビュー後半で説明します。

 「ウクライナは北大西洋条約…

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    三牧聖子
    (同志社大学大学院教授=米国政治外交)
    2022年4月15日1時25分 投稿
    【視点】

    「共産ソ連、いまのロシアと、ロシアは体制が変わってもなぜ専制的なのでしょう」ー記者のこの問いへの岩下氏の回答は重要だ。日々報道でロシア軍の残虐さを目の当たりにし、私たちはだんだん、ロシアという国家とその人々は、過去に類例がないほど残虐であり

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2022年4月14日10時30分 投稿
    【解説】

    ウクライナがNATO不加盟を約束すれば良かった、というような簡単な話ではないことが良く分かります。 プーチン氏は12日、ベラルーシのルカシェンコ大統領と共に臨んだ記者会見で「私たちは区別していない。どこまでがベラルーシ領なのか、どこがロシ

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