2週間でギャング9千人拘束 非常事態のエルサルバドルで何が

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サンパウロ=軽部理人
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 殺人事件の急増で非常事態宣言が出ている中米エルサルバドルで、強権化を進めるブケレ政権への懸念が国際社会で強まっている。憲法で認められた集会の自由などが宣言によって一部停止したことに加え、報道機関への締め付けを強めているためだ。だがブケレ氏は犯罪が劇的に減っていると主張し、反発を強めている。

1日に62件の殺人事件、一般市民も多数被害に

 「我々は今、ギャングとの戦争のまっただ中にいる。ギャングに屈することは絶対にない」

 ブケレ氏は5日、首都サンサルバドルでの演説で、こう述べた。非常事態宣言が出た3月27日以降、ブケレ氏は自身のツイッターで“Guerra Contra Pandillas”(ギャングとの戦争)とのハッシュタグを使い、有事を強調する投稿を連発。15日間で9千人超を拘束して殺人が減少しているとして、成果のアピールに余念がない。

 人口約650万人のエルサルバドルでは2015年、人口10万人あたりの殺人件数が世界最悪の水準に達した。その後治安は改善していたが、先月26日には突如として1日で62件を記録。地元メディアによると、計約7万人の構成員がいる犯罪組織「マラ・サルバトルーチャ」(MS13)と「バリオ18」(18番街)の2大勢力による抗争が主な理由だ。

人口650万人の国に、なぜ7万人ものギャングがいるのか。記事後半では、エルサルバドルが抱える歴史的、構造的な根深い問題、ギャングができた経緯について、エルサルバドルに詳しい専門家に話を聞いています。

 だが、現地の記者は朝日新聞…

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