第3回「もの配りの国」になったフランス 家を売ったアマゾン従業員の失望

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ドゥエ〈フランス北部〉=疋田多揚
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 ロシアによるウクライナ侵攻の余波で、フランスのスーパーの食料品棚から、ヒマワリ油が消え始めている。スペインでは買い占めを防ごうと、大手スーパーで3月から、「1人5リットルまで」「1人1日1本まで」といった購入制限が始まった。

 豊かな黒土に恵まれたウクライナは、「欧州の穀倉」と呼ばれる。その輸出額のトップがヒマワリ油だ。隣り合うロシアとあわせると、世界のヒマワリ油輸出市場の半分以上を両国だけで占める。

 フランスは3分の2をウクライナからの輸入に頼り、ポテトチップスやフライドポテトなどに広く使われている。

 戦争の影響は、ヒマワリ油にとどまらない。資源国と農業国の争いは、食料、燃料の価格高騰をもたらした。

 スペインでは電気料金が高騰し、製鉄工場が先月操業を止めた。採算ラインを超えたからだ。

 英仏海峡でも、フランスの漁師が出漁を見合わせる。燃料代が高すぎて、赤字になるためだ。フランス北西部の自治体では暖房費の負担に耐えきれず、市営温水プールの営業が停止した。

欧州のスーパーに異変が起きています。食料品棚からひまわり油が消え、パスタや卵といった食糧の値上げが止まりません。欧州の穀倉と呼ばれるウクライナが侵攻を受けたためです。資源国ロシアが引き起こした戦争は、燃料高騰で欧州庶民の生活を一変させました。制裁を強めるか、やめるべきか。製造業から物流業へとシフトしつつあるフランス経済に突きつけられた問いです。変わる経済の象徴ともいえるアマゾンの労働者は、何を思うのでしょうか。

 トラック運転手やウーバーの運転手がフランス政府の支援を求め、各地で何度もデモを繰り返す。地方でお年寄りの家庭を車で回るヘルパーが、仕事を辞めていく……。

 戦争は、欧州の生活環境を一変させつつある。

 大統領選を間近にしたフラン…

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