3500人を看取った在宅医 支えになった患者からのある言葉

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佐藤陽
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 団塊世代が75歳以上になり、医療・介護の提供が追いつかなくなる「2025年問題」。その問題に果敢に立ち向かうのが、めぐみ在宅クリニック(横浜市)院長の小澤竹俊医師(59)だ。28年間で約3500人の患者を看取(みと)った経験を惜しみなく、多くの専門職に「伝授」する。つらい時期もあった28年間、ホスピス医として彼を支えたのは、患者さんからのある言葉だった。

 2025年問題は、「多死社会」の到来を意味する。25年には死者数は150万人を超えると予想される中、病院のベッドは足りない。国は訪問診療して看取る「在宅医」を増やそうとしているが、まだ足りていない。そこで、小澤さんは長年の臨床経験から培った「看取りのコミュニケーション」の技法を、医師や看護師、介護職員らに広げてきた。

 15年、仲間とともに、一般社団法人「エンドオブライフ・ケア協会」を立ち上げ、現在代表理事を務める。全国各地を回り、看取り人材の養成講座を開いてきた。

 「なんで自分だけこんな目に…

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佐藤陽
佐藤陽(さとう・よう)朝日新聞文化くらし報道部・be編集記者
横浜総局時代に、超高齢化の実態や取り組みを描いた「迫る2025ショック」を2年半連載、『日本で老いて死ぬということ』(朝日新聞出版)として出版した。台湾でも翻訳された。自身の心の病をきっかけにメンタルヘルスの取材も続ける。早稲田大学非常勤講師として「産業社会のメンタルヘルス」の講義を担当する。