第3回封じられた音楽、「バイオリンは渡さない」 女子楽団員の悲壮な覚悟
「もう二度とバイオリンが弾けなくなるかもしれない。また歌える日が来るのだろうか」
アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバンが昨年8月15日、政権を崩壊させたとき、スンボル・レハさん(17)が真っ先に考えたのは、生きがいにしてきた音楽を奪われることへの恐怖だった。タリバンは音楽を反イスラムと捉えて禁じてきた。
【連載】「混迷の十字路 アフガニスタン政権崩壊から半年」の初回はこちら
アフガニスタンは「文明の十字路」と呼ばれ、大国や民族間の争いが続いてきました。イスラム主義勢力タリバンが全土を制圧してから半年。現地の人たちは今、どんな境遇におかれているのか取材しました。
知人宅にいたレハさんは、バイオリンを抱きかかえて親戚の家に走った。「何があっても楽器は渡さない。タリバンに見つかったら壊されてしまう」。裏庭に穴を掘り、バイオリンを埋めた。
前日の晩は、友人の結婚パーティーで踊り、仲間との会話を楽しんでいた。一夜でこんなことになるなんてと、急な政変にレハさんは混乱した。
女性の地位向上の象徴
レハさんは、アフガニスタン…
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- 【視点】
UNHCRによると、故郷アフガニスタンか逃れた人は300万人を超え、その80%が女性と子供です。彼らは記事にあるレハさんのように才能に恵まれながら、教育の機会を奪われ過酷な生活を強いられています。パキスタンに逃れて難民となったサリマ・レヘマ
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