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統計不正、4兆円過大計上か 20年度の全体5%相当 朝日新聞試算

有料記事国交省の統計書き換え問題

伊藤嘉孝 柴田秀並 岡戸佑樹
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 国の基幹統計「建設工事受注動態統計」の不正をめぐり、国土交通省の本省職員が受注実績を無断で書き換えて二重計上していたことで、2020年度の統計が約4兆円過大になっていた疑いがあることがわかった。実績全体の5%に相当し、巨額の訂正が必要になる。13~19年度は二重計上したデータの量がより多く、さらに大幅に過大だったことになる。

 公表データを基に、朝日新聞が複数の専門家の助言を受けて試算した。この統計の開始当時に標本の抽出方法の設計に携わった横浜市立大の土屋隆裕教授(統計調査)は、この試算について「誤差は生じるだろうが、考え方は妥当」と評価。総務省統計委員会委員長で統計数理研究所長の椿広計氏は「試算の仮定は合理的で、概数は把握できよう。統計委としても国交省に対し数値の是正を要請している」とした。

 政策立案の前提であり、国内総生産(GDP)計算の材料でもある基幹統計が、データ改ざんによって兆単位で過大になっていた疑いが出てきたことは、開会中の通常国会で議論になるのは必至だ。統計法は、真実に反する基幹統計を故意に作成することを禁じており、罰則もある。すでに事務次官ら10人が処分されているが、国交省による検証が進めば、処分が重くなったり対象が拡大したりする可能性がある。

 同省は20年度の統計を二つ公表しており、朝日新聞はこれらを用いて試算した。二つの統計は、データ書き換えで二重計上が生じた「書き換え後統計」(①)、書き換え前のデータで集計した「書き換え前統計」(②)。②には21年度から新たに導入された集計手法(新集計)がさかのぼって使われている。新集計では、旧集計に新たに、未回答の部分を埋めて補正するための係数をかけるが、この係数は公表されておらず、①と②は単純には比較できない。そこで、この係数を公表データを用いて大まかに割り出し、それを使って①と②を同じ条件にして比較したところ、1年間で約4兆円過大になっていた。検証委員会による14日公表の報告書に記載された、国交省が過去に行った検証の内容も参考にした。

影響、さらに波及の恐れ

 今回の問題では、遅くとも0…

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