「正社員の休暇減らす」日本郵政、待遇格差認定の判決受け提案

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編集委員・沢路毅彦
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 日本郵政グループが、2020年10月の最高裁判決で「正社員と非正社員の待遇に不合理な格差がある」と認定された労働条件について、格差を縮める見直しを労働組合に提案したことがわかった。正社員の休暇を減らす内容が含まれており、労組側には反対意見がある。

 会社側が見直しを提案したのは、夏期・冬期の有給休暇、年始(1月2~3日)の祝日給、有給の病気休暇の3点。夏冬の有休は現在、郵便業務につく正社員で夏と冬に3日ずつ、アソシエイト社員(期間雇用から無期雇用に切り替えられた社員)で1日ずつだが、期間雇用社員はゼロ。会社提案は、期間雇用社員に夏冬1日ずつ与える一方、正社員は2日ずつに減らす内容で、正社員にとっては不利益な変更になる。

 また、年始の祝日給では正社員の割り増し分を廃止する一方、年始勤務手当を正社員・非正社員ともに増額。有給の病気休暇は新たにアソシエイト社員にも15日与えるが、正社員も含めて31日以上の療養が必要な病気に限るという内容だ。

 この提案に対し、グループ内最大の労組、日本郵政グループ労働組合(JP労組、約24万人)は議論を始めている。年始の祝日給については、会社側が正社員の待遇を維持するよう提案を修正し、JP労組は受け入れを決めた。一方、夏冬の有休や病気休暇については結論が出ていない。

 郵政グループには正社員約2…

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    木村草太
    (憲法学者・東京都立大学教授)
    2022年1月6日23時38分 投稿
    【視点】

    この事例は、憲法の定める平等原則(憲法14条)の限界を理解する上で興味深い。 格差解消を、共に条件を引き上げることで実現するか、それとも、共に条件を引き下げることで実現するか。これは、平等原則(憲法14条1項)で違憲判決が出た場合にも生じ

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    菊間千乃
    (弁護士)
    2022年1月7日19時51分 投稿
    【視点】

    日本の非正規労働者数は2189万人(令和元年9月調べ)で、雇用者全体の38.5%を占めます。国は非正規雇用から正規雇用への転換政策を色々進めておりますが、同時に非正規労働者自身の待遇改善を目的として、「同一労働同一賃金」を導入し、正社員と非

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