イラク、クウェートへの賠償6兆円の支払い完了 侵攻から30年かけ

ドバイ=伊藤喜之
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 イラクのサダム・フセイン政権が1990年に侵攻したクウェートに対する賠償金の支払いを、イラク政府が終えた。イラクの中央銀行が21日に発表した。侵攻から約30年を経て、同国経済の重しとなってきた補償が完了したことになる。

 イラク中銀などによると、賠償総額は524億米ドル(現在のレートで計算すると約5兆9900億円)に及んだ。21日に最後の約4400万ドルを支払って完了したという。

 カディミ首相の経済顧問のモザー・サレハ氏は地元メディアに対し、「最後の支払いを終えて、イラクはクウェートへの戦争賠償のファイルを閉じた」と述べた。一方、安定的な電力供給さえままならない自国の現状にも触れ、「この賠償額があれば、十分な電力網を構築できた」と侵攻の代償の大きさに言及した。

 当時のフセイン大統領が「クウェートをイラクの19番目の州にする」と宣言して実行したクウェート侵攻は翌91年、湾岸戦争に発展。イラク軍に撤退を求める国連決議に基づいて、米軍主体の多国籍軍がイラク側を攻撃し、クウェートを解放した。戦後、イラクは多国籍軍の監視下に置かれ、経済制裁を科せられることになった。

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