第4回統計をつくるのは統計を知らぬ役人 東大教授が見た日本の役所の現実
聞き手・小宮山亮磨
東京大学教授・肥後雅博さん
日本銀行から総務省の統計委員会に出向していた2018年12月、厚生労働省が、基幹統計の「毎月勤労統計」の調査を誤った方法で続けていたことに気づいた。従業員500人以上の企業は「全数調査」をするルールなのに、東京都では04年から、3分の1だけを対象にした「抽出調査」に無断で変えていた。問題はその後、国会でも議論される大問題になった。
おかしいと気付いたのは、データをグラフにしたときに、滑らかにつながらない「段差」が生じていたためだ。定期的に調査対象を入れ替える抽出調査ならともかく、全数調査であればそうした段差はできないはずだった。
厚労省にメールで資料を送って、電話で「おかしいですよね」と質問した。すると、担当の課長級職員が委員会に来て、西村清彦委員長や総務省幹部の前で、「実は不適切な調査をしていました」と認めた。
私は、調査票の回収率が低い…
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