5-11歳も新型コロナワクチンを接種へ 「有効性、安全性を確認」

枝松佑樹
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 新型コロナウイルスワクチンの5~11歳への接種について、厚生労働省の専門家による分科会は23日、来年3月にも始める厚労省の方針を了承した。米ファイザー社製ワクチンを使う。1月以降の薬事審査を経て、正式に決定する。

 この日の会合では、外国からの報告をもとに、5~11歳に対する接種の有効性や安全性が確認された。審議資料によると、約2300人が参加した米国などでの臨床試験で、2回目接種から1週間以降の発症予防効果は90・7%だった。

 約4万1千人を対象にした副反応についての米疾病対策センター(CDC)の解析では、接種部位の痛みなどはほとんどが軽度から中等度で、治療が必要になったのは約1%だった。

 海外の状況も報告された。厚労省によると、米国、カナダ、イスラエルが5~11歳全員に対してファイザー社製ワクチンの接種を推奨している。一方、ドイツなどは、対象を基礎疾患がある場合などに限定しているという。

 感染症が専門の委員からは、今後コロナ感染が拡大すれば、未接種の11歳以下の間で重症例が増え、接種すれば抑えられるとするシミュレーション結果も示された。この委員は、オミクロン株を前提にシミュレーションすれば「確実に症例数は増える」と指摘した。

 国立成育医療研究センター(東京)が9月に実施した、小学1年から高校3年生の子どもや保護者への接種意向調査の結果も示された。小学生の5~6割が「とても受けたい」「どちらかというと受けたい」と回答し、小学生以下の子どもの保護者の7割以上が「受けさせたい」「どちらかというと受けさせたい」と回答している。

 こうしたことを確認した上で、5~11歳の子どもに接種機会を提供することについて、委員から異論は出なかった。

 議論の焦点になったのは、接種を受ける子の保護者に「努力義務」を課すかどうかだった。

 予防接種法は新型コロナワクチンの接種対象者(16歳未満の場合はその保護者)が「接種を受けるよう努めなければならない」と定めている。法律上の義務とは異なり、接種は強制ではない。会合では「努力義務があれば、会社を休んで子どもを接種に連れて行きやすいなど、環境づくりに役立つ」といった意見が出た一方、「努力義務があるのとないのとで何が変わるのか分かりづらい。明確にしてから議論すべきだ」との指摘もあった。事務局が定義を整理した上で、来年1月以降に開く次回の会合で、引き続き議論することになった。

 小児用のワクチンは大人用とは別の製剤で、薬液の量やパッケージが異なる。ファイザー社は今年11月に製造販売の承認を厚労省に申請した。今後承認されれば、来年2月以降に輸入され、自治体に順次配送される予定だ。厚労省は自治体に対し、接種できる医療機関の確保など、準備を進めるように求めている。

国内の5~11歳の患者数

〈2020年1月~21年3月〉

 患者       8609人

 中等症以上       6人

 重症          0人

〈2021年4月~12月13日〉

 患者      61967人

 中等症以上     171人

 重症         25人

   (厚生労働省のデータから)…

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