第1回役人が誤りを正せない心理とは 元厚労官僚が語る統計不正
千正康裕さん・元厚生労働省官僚
国土交通省で発覚した基幹統計の書き換えは、あってはならない重大な問題だ。特に、会計検査院から指摘を受けた後も続けていたことが事実であれば許されない。
ただ、霞が関で管理職をしていた自分の感覚からすると、昔から続いてきたおかしなやり方を改めるのは難しい判断だとも思う。直すときに、ものすごく仕事量が増えるからだ。
国交省職員、検査院の指摘後は自ら統計書き換え 自治体には中止指示
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誤りを認めれば、過去の分を直すのかどうか、どこまでさかのぼるのかを意思決定し、オペレーションも考えないといけない。国会やメディアへの説明にも大変な労力がいる。
2019年の初めに厚生労働省の毎月勤労統計の不正が大きな問題となった時は、省内の大講堂に机を並べ、色んな部署からかき集められた人たちが対応にあたった。一方、ほかの部署は人が減らされた中で、重要な政策課題に取り組まなくてはいけない。
霞が関の官僚は、すでにギリ…
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- 【視点】
決して官僚を擁護したいわけではない。誤りを正して、よい行政をつくっていくために、何が必要かということを、いつもリアリスティックに考えている。 責任論も重要なことだが、糾弾するだけでは、次々同じような問題が起こる事態は改善しないだろう。
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