収蔵庫の絵画をガラス張り公開 オランダのボイマンス美術館
ネーデルラント絵画の巨匠ピーテル・ブリューゲル1世の傑作「バベルの塔」を所蔵するオランダ・ロッテルダムのボイマンス美術館が6日、収蔵庫をまるごと公開する「デポ」をオープンする。国土の4分の1が海面より下のオランダは、気候変動に敏感だ。地下庫などからの移設で作品を守りつつ所蔵品を広く紹介し、保管のあり方まで見せる「美術館」となる。
「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」は美術館の隣に4年半かけて新設し、15万点超の芸術品を保管する。ボウルのような形で鏡ばり、高さ約40メートルのデポ内は回廊状になっており、温度や湿度を最適化した収蔵室に並ぶ絵画をガラス越しにのぞいたり、通路や吹き抜け空間に保管・展示された作品を楽しんだりできる。修復の様子が見られる部屋もある。
美術館の収蔵庫は、専門家ら限られた人にだけ門戸を開いているのが通例なのに対して、いくつもの室内に担当者の案内で入れる。「バベルの塔」は日本でも人気が高く、朝日新聞社などが2017年に東京と大阪で催した展覧会の入場者は計65万人を超えた。ボイマンス美術館は28年の再開を目ざして改装中だが、デポ内で「バベルの塔」を鑑賞できる可能性がある。
収蔵庫の新設は気候変動への対応が狙いのひとつ。美術館の地下庫が水につかったこともある。北海を挟んだ対岸の英国で、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開かれているさなかの開館となった。ボイマンス美術館のシャーレル・エックス館長は「うれしい偶然だ。美術館にとって不可欠の収蔵庫の新しいあり方を、世界に類を見ない形で実現した」と話す…
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