自治体の固定資産税の計算に誤りがみつかれば、納め過ぎた固定資産税は返還される。地方税法上は、過去5年分しか戻らない規定だ。ただ、国家賠償法に基づいて裁判を起こせば、20年分まで認められることがある。
大阪市から5年分しか返還を受けられなかった13の個人・法人が昨年7月、市を相手取り、計約1億円の返還を求める訴訟を大阪地裁に起こした。原告団の高瀬博文弁護士(42)によると、この訴訟では、幹線道路に面した土地にまつわる案件をとりまとめた。
きめ細かく評価のはずが・・・相次いだ適用漏れ
固定資産税の評価額は原則、全国の道路に市町村がつけた「路線価」をベースに、それぞれの土地の特徴を反映して算出される。土地が面する道路のうち、最も高い路線価が採用される。
幹線道路に面した土地の場合、オフィスビルなどの高さのある建物が建てやすいように、容積率が高く設定されることがある。そのぶん路線価は高くなるが、なかには、容積率が低い奥まった部分も含んだ土地もある。その全体に幹線道路の路線価を適用してしまうと、評価額は高くなりすぎることがある。
そのため大阪市は、1997年に「固定資産評価実施要領」を見直し、容積率が混在した土地の評価額は割り引く補正制度を導入していた。きめ細かい評価ができる制度だが、実際は適用漏れが次々に発覚。ところが市は5年分しか返還しないことから、今回の集団訴訟に至った。高瀬弁護士は、ほかにも同様の間違いが多数放置されていると見ており、実際に数人が年内にも訴訟に加わる方向で検討しているという。
実は大阪市は今年、この評価…
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