月100時間の時間外労働、退職翌日に自殺 「過労が原因」労災認定

高木文子
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 自動車部品メーカー、岐阜工機(岐阜県八百津町)の男性社員(当時33)が2017年9月に自殺し、関労働基準監督署が、過労による精神障害が自殺の原因だとして労災認定した。遺族側が13日発表した。認定は8月2日付。

 遺族側代理人の岩井羊一弁護士によると、男性は06年に入社し、生産設備の保全や生産準備を担当。新しい機械の導入に伴い、親会社から費用の一部の補助を受けるなどの目的で、17年1月ごろから親会社へ提出する書類の作成にも携わった。書類の作成などで、4月下旬から5月下旬に月間22時間だった時間外労働が、7月15日までの1カ月間は100時間3分に達した。男性は7月25日から休暇を取り、9月20日に退職。翌日、自宅で自殺したという。

 労基署は、遅くとも男性が休暇に入る前日にはうつ病を発症していたと判断。月100時間超の時間外労働と、書類がなかなか承認されず「上司とのトラブルがあった」ことなどを加味した。遺族は今後、損害賠償を求めて会社側と話し合うという。

 男性はうつ病を発症したとされる17年7月下旬、母親(66)に「会社でひどいことを言われ、罵声を浴びせられる。仕事もえらい(つらい)」と漏らしたという。母親は「助けてもやれず悔やんでも悔やみきれない。息子をつぶしたこの会社を許すことは決してない。労災認定で無念を少しでも晴らしてやることができた」と談話を寄せた。

 岐阜工機は取材に「労災認定についてこれから詳細を把握して、対応したい」としている。(高木文子)

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    小室淑恵
    (株式会社ワーク・ライフバランス社長)
    2021年10月14日16時20分 投稿
    【視点】

    本当に許せない。コメントを書く手も震えます。2019年に労働時間の上限が法律で定められる前の2017年の事件です。職場における長時間労働と罵声で、息子をうつ病で失った母親の気持ちを考えると胸がつぶれそうになります。しかし、労働時間の上限が設

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