省庁の残業代、要求額が18%増加 実態に合わせての算出を官邸指示

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榊原謙
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 2022年度予算案の編成に向け、主要な中央省庁が求めた残業代の要求額が、前年度の当初予算額より18・4%多い計約385億円に上ることが朝日新聞の集計で分かった。首相官邸が残業代を労働実態にあわせて支払うように各省庁に指示したことが背景にある。実態にあわせた要求の急増は、いわゆる「サービス残業」が横行していた可能性を示している。

 中央省庁で働く官僚の長時間労働をめぐっては近年、若者の「官僚離れ」の原因になっているなどと問題が指摘されてきた。このため、河野太郎行政改革相が昨秋、実態調査を実施。これを踏まえ、今年3月に菅義偉前首相が新たな「人事管理運営方針」を決め、各省庁は職員の勤務時間を把握したうえで、必要な残業代は、予算を省内で融通しても足りない場合、22年度予算で要求するよう指示された。財務省も、今回の増額要求については、業務が十分効率化されているかなどを精査したうえで、必要な残業代の増額には応じる見通しだ。

 全11省と内閣府、内閣官房の各府省が外局や出先機関などを除く本省分として一般会計で求めた「超過勤務手当」(残業代)の要求額を集計したところ、21年度の予算額に比べて増加率が最大だったのは、環境省で47・4%増の12・6億円。2番目は長時間労働が以前から問題になってきた厚生労働省で、34・6%増の53・6億円。総務省が32・0%増の27・7億円、内閣府が28・0%増の12・3億円と続く。これら13府省の残業代の要求総額はここ数年、微増傾向で推移しており、今回の要求水準は異例だ。13府省の残業代の予算額も2021年度までの過去5年間は1・1~3・8%増で推移している。

 残業代を含む人件費などの「義務的経費」は、要求総額を前年度並みに抑えるルールもあるため、省内でほかの予算を減らすなどのやりくりをして残業代を増額要求したという。

 これまでは労働の実態と関係…

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