教皇レオ14世の原点 荒れ果てた教会に思う、世界に欠けているもの
連載コラム「紐育一灯」 ニューヨーク支局長・青山直篤
このコラムは…
戦後の国際秩序が崩れ、新たな世界史が動き出しています。我々はどこへ行くのか。手元の小さな明かりを頼りに、遠くを見据え、日本や世界の地平を探りたい――。そんな思いで、米国からの報告をお届けします。
新しいローマ教皇が米国出身だとの一報が出て、慌ててシカゴへ飛んだ。その故郷に着いて驚いたのが、信仰の起点となった「聖マリア教会」が荒れ果てていたことだ。壁は落書きだらけ。破れた天井から差す光だけが美しい。
新教皇レオ14世は少年時代、この教会のミサで侍者も務めていたという。恭しく立ち働く少年の姿を思い浮かべた。その後ペルーの貧困地域で伝道を重ね、14億の信徒を導く指導者となった人物は、世界に何をもたらすのか。
本人も言及したある文書が手…