「眼中になかった」維新の猛攻 辻元清美氏敗北、大阪10区でなにが

有料記事2021衆院選

細見卓司 久保田侑暉
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 衆院大阪10区で、立憲前職で党副代表の辻元清美氏(61)が、維新新顔で前大阪府議の池下卓氏(46)に敗れた。辻元氏が小選挙区で負けるのは、民主党が下野した2012年の衆院選以来で、比例復活も果たせなかった。抜群の知名度を誇り、「党派を超えた政治家個人の力」での当選を自負してきた辻元氏でさえ、維新の猛攻をはね返すことができなかった。

「最後のとりでなんです!」

 「大阪は維新の候補者が勝つ勢いだと報道されている。最後の一つ、なんとか持ちこたえられるかどうかという瀬戸際が、この大阪10区。大阪の最後のとりでなんです!」

 選挙戦最終日、10月30日夜の阪急高槻市駅前(高槻市)。辻元氏は演説で「最後のとりで」というフレーズを何度も使って、声を張り上げた。

 維新が掲げる「大阪から日本を変える!」とのキャッチコピーを引用し、「みんなが支え合う、セーフティーネットを大事にする、カジノをやめる。そんな大阪に変われば、日本が変わります。大阪の最後のとりでを一緒に守ってください!」と支持を訴えた。

 2週間前は違った。

 衆院が解散された10月14日。辻元氏は高槻市内で演説後、池下氏について記者団に問われ、「あんまりね、他陣営のことは気にしない方なんです。維新はローカル。ローカルな維新は眼中にないんですけどね」と言い切った。

 選挙戦序盤の演説の力点は、岸田政権にどう対峙(たいじ)するか。

 維新に関しては、ツートップである松井一郎代表(大阪市長)と、吉村洋文副代表(大阪府知事)が推し進めるカジノを含む統合型リゾート(IR)について「しっかり歯止めをかける」と演説で述べる程度だった。

「敵は辻元氏」

 一方、衆院選初挑戦となる池下氏の陣営は、最初から「敵は辻元氏」と見定めていた。

 辻元氏が演説した同じ日の14日、吉村副代表はJR高槻駅前に応援に駆けつけた。デッキ上を埋め尽くした約3千人の聴衆(陣営発表)を前にこう訴え、拍手喝采を浴びた。

 「(選挙で)強い人がいるんです。辻元さん。強烈に厳しいからやってきた。成長のための改革は維新しかできない。改革をやるのが池下さんだ」

 吉村副代表は、辻元氏の発言を念頭に自身のツイッターでも「眼中に入っていってやろうじゃないか」と気勢を上げた。

 池下氏の陣営関係者は「(辻元氏の発言は)ありがたかった。池下と辻元氏の対立構造に持ち込めた」と振り返る。

 池下氏自身も地元出身をアピール。高槻市議だった祖父の時代から続く地盤と府議時代に培った人脈をいかし、自民支持層への食い込みを図った。陣営関係者によると、あえて自民批判は手控えたという。

 選挙戦中盤にさしかかり、報道各社の情勢調査で辻元氏と池下氏との接戦が報じられた。

接戦が報じられると、辻元氏は戦術を転換しました。さらに、新たな手も打ち、波紋を広げました。その内幕を紹介します。

 辻元氏は、街頭での維新批判…

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