「ごちゃまぜ」効果で街に活気を 柳井で講演

伊藤宏樹
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 「ごちゃまぜ」と呼ばれる手法で地方都市の再生に取り組む石川県の雄谷良成(おおやりょうせい)さん(60)が29日夜、山口県柳井市で講演した。「家でも職場でもない居心地のいい場所」を核ににぎわいが戻った各地の事例を紹介し、「白壁の街並みが残る柳井のまちにも本当に可能性がある」と語った。

 雄谷さんは社会福祉法人佛子園(ぶっしえん、石川県白山市)の理事長を務める。運営する施設では、障害者や高齢者が暮らしながら働く場所に、保育園や医院、そば屋、温泉、スポーツジムなどが併設され、近所の人から観光客まで様々な人が交わる拠点になっているのが特徴だ。

 JR北陸線の駅では、自治体の委託を受けて駅舎の待合室を改装し、障害者が働き、誰でも宴会ができるカフェにした。すると広い年代で終日にぎわい、乗降客数もV字回復したという。「行政が年間2千万円ほど赤字を補っていた駅に、いろんな人が来るようになって乗客が増えた」

 朝市や漆器で知られる人口約2万5千人の石川県輪島市では、空き家を改装した高齢者施設を核に、廃屋になった料亭やスナックを改装したゲストハウス、飲食店などが点在する。観光客のほか、東京から移住して働くようになった人もいるという。

 1986年から4年間、雄谷さんは青年海外協力隊員としてドミニカ共和国で障害福祉の指導者育成に携わった経験がある。いまは青年海外協力協会(JOCA〈ジョカ〉)の代表理事も務め、帰国後の協力隊経験者が運営の中心になっている宮城県岩沼市の複合福祉施設の例も紹介した。こうした施設は全国に広がっている。

 雄谷さんは「日本人には家か職場しかないと言われるが、いろんな人と気兼ねなく関われる居心地のいい第3の場所が必要。高齢者や認知症の人、ひきこもりの人もみんな地域が秘めた活力になる」と力を込めた。講演を企画した柳井市の若手経営者らは、近く石川へ視察に訪れるという。(伊藤宏樹)

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