ワクチンパスポートは経済回復の切り札か? フランスに見る問題点
コロナ禍でのイベントや飲食、旅行などの制限緩和に、ワクチン接種証明や陰性証明を活用する「ワクチンパスポート」の議論が本格化している。しかし、一足先に導入した海外では反発も起きた。経済立て直しの切り札になるのか。不利益や差別につながる恐れはないか。
野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英さん「接種証明で経済押し上げ効果」
――ワクチン接種証明書を海外渡航だけでなく、国内でも利用するべきだと考えますか。
「国内でも積極的に活用すべきだと思っています。仮に政府が旗を振らなくても、民間ベースで広がっていくでしょう。現に飲食店などでは、入店の条件にはしないまでも、接種証明があれば割引や優遇をするなどの利用がスタートしています」
――国内利用にどんなメリットがあるのでしょうか。
「一つは感染対策です。感染リスクの高い場所では、接種証明の提示を必須にすることで、感染拡大を抑える。経済を多少なりとも支える効果も期待できます。接種証明を入店やイベント参加の条件にすることで、感染を抑えながら経済活動を元に戻していくことができます」
「ワクチン接種を促すメリットもあるでしょう。ワクチン接種が先行した欧米でも、ある段階で接種率は頭打ちになっています。日本も近いうちにその課題に直面するはずです。接種証明が様々なところで利用されるようになれば、未接種者の背中を押す効果はあると思います」
――政府として積極的に推進すべきでしょうか。
接種証明の国内活用を訴える木内氏。記事後半では、公的アプリの必要性などについて語ります。また、別の視点からも。慶応義塾大学の河嶋春菜特任准教授が、「衛生パス」を導入したフランスの事例を語り、法的議論なしに進められようとしている日本の状況について懸念を示します。
「利用は民間ベースで広がっ…
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- 【視点】
河嶋春菜氏の紹介されるフランスの事例は、日本との違いを意識するうえでとても参考になると思います。たとえば、河嶋氏のご指摘のうち、 「衛生パスの法律は実は11月15日までの時限立法です。緊急事態関連の法律では国会が自らのチェック機能を
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