授業任すなら「直接雇用」に 大阪大の非常勤講師訴え 文科省も調査
大阪大学が業務委託契約を結ぶ非常勤講師に成績評価などを含む授業を任せていることに対し、文部科学省が「大学が直接雇用した教員以外が授業を担当するのは不適切だ」として実態を調査していることが分かった。講師らも「実質的に授業を担っているにもかかわらず不安定な雇用を強いられている」として、直接雇用への転換を求めている。
阪大の講師を含む関西圏大学非常勤講師組合が9日に会見し、明らかにした。
組合によると、阪大は最長10年を上限に、講師と業務委託契約を結んでいる。文科省は業務委託自体は認めているが、想定されているのは授業の補助で、4月には各大学に「直接雇用していない者に実質的に授業を担当させるのは不適切」とする事務連絡を出した。
組合は、非常勤講師が授業の計画作りや成績評価などを単独で担っている阪大のような状態は問題だと主張。文科省も実態の確認を進めているという。
さらに組合は、阪大外国語学部では210人の非常勤講師のうち約80人が2022年度末に10年の上限を迎えるとして、「多くの雇い止めが出る恐れがある」とも指摘した。労働契約法は有期の雇用契約を繰り返して一定期間を超えれば、労働者が無期契約への転換を求めることができると定めているが、業務委託契約の場合は労働者ではなく個人事業主となり、対象にならないためだ。
組合は会見で「労働契約ではないので、大学は簡単に契約を打ち切れる。東大など各地の大学が直接雇用に切り替えており、阪大も対応すべきだ」と訴えた。阪大は朝日新聞の取材に「契約形態のあり方は大学として責任を持って決めるが、申し入れがあれば交渉には応じる」と回答した。
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