タリバンが妨害、女性記者減る カブール昨年の7分の1

パリ=疋田多揚
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 アフガニスタンの首都カブールで働く女性記者が、イスラム主義勢力タリバンによる首都制圧以降、7分の1以下に減っているとする調査を国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)が明らかにした。

 同NGOが8月31日に公表した報告によると、地元の「アフガニスタン女性ジャーナリスト保護センター」と調査したところ、2020年にはカブールに108のメディアがあり、4940人を雇用していた。1080人を女性が占め、このうち700人が記者職だった。先月15日の首都陥落以降も働けている女性記者は100人以下だという。

 報告書はタリバンによる妨害事例にも触れている。アフガンの独立系通信社で働く記者は、8月25日にカブール空港で現場取材をしていたところ、タリバン戦闘員に殴られたという。他のメディアで働く女性記者も、タリバンがメディアの社屋を監視しており、現場取材に出るのを妨げられていると訴えているという。

 中部ガズニ州のラジオ局で働く女性記者は、タリバンが地域制圧後に放送局を訪れ「女性の声を流してはいけない」と警告した、と同NGOに訴えたという。タリバン傘下に入った国営放送局「RTA」では政権崩壊前まで140人の女性記者が働いていたが、現在は一人も働けていない、と報告書は指摘している。

 タリバン執行部は「イスラム法の範囲内で女性の権利を尊重する」と主張しているが、同NGOは「メディアでは女性の姿が消え始めている」と指摘。ドロワール事務局長は「女性記者を一刻も早く職場に戻すべきだ。彼女たちの権利でもあり、生活の糧でもあるだけでなく、彼女らがいなければすべてのアフガニスタン女性の発言を封じることになるからだ」と訴えている。

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