「世界一美しい」受け継がれた日本の形 空手・清水希容、手にした銀
東京五輪の空手女子形で清水希容(きよう)が5日、決勝で世界王者サンドラ・サンチェス(スペイン)に敗れたものの銀メダルを獲得した。
清水の活躍を、特別な感慨で受け止めた関係者がいる。同じ「チャタンヤラクーサンクー」を得意にしていた宇佐美里香チームリーダーだ。竹刀による指導で解任された前任者の後を受けて5月に全日本空手道連盟強化委員長に就任、今回は空手選手団のトップとして五輪に臨んでいる。
女子形の選手として全日本選手権を5度制覇。2012年パリの世界選手権で優勝した時は、「世界一美しい形」と言われ、その演武が動画で流れると世界中で絶大な人気を博した。
引退後、後継者として育ったのが14、16年世界選手権優勝の清水。12年の動画を見て「世界で戦いたい。いつかは宇佐美さんに追いつき、追い越したい」と憧れを胸に精進してきた。
コロナ禍で、出場した五輪前最後の国際大会は20年1月のパリだった。足のけがもあり、3位に沈んだ清水は、帰国日の午前中、宇佐美が勝ったときの会場だったベルシー体育館を視察。「初心に帰った」と五輪へ気持ちを奮い立たせたという。
自由に発展した組手と違い、空手本来の伝統美、芸術性など、力強さだけでなく美しさを求められる形こそ、発祥国の見せどころだ。初の五輪で重圧の中、受け継がれた日本の「美しい形」は、この日間違いなく披露された。
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