自宅の防空壕、都内各所に 把握されず、年々取り壊し
太平洋戦争末期の東京大空襲から76年が経った。今も都内各所に防空壕(ぼうくうごう)が残るが、年々、取り壊しが進んでいる。今夏、都内の住宅に残る防空壕に入ることができた。
杉並区の主婦・瀬村孝子さん(74)の所有する敷地には、1943年に造ったコンクリート製の防空壕がある。地下2・5メートル。自宅庭だった場所の下に造られた。
中に入ると、ひんやりと、少ししけった空気に包まれた。階段から入った光が白い漆喰(しっくい)の壁に反射し、ライトがなくてもうっすらと明るい。天井がアーチ状になっており圧迫感はない。一見、80年近く前の構造物とは見えないが、鉄扉のさびが年月の経過を感じさせた。
出入り口のコンクリートを見たとき、頑丈そうだと思った。これなら床下より安全かもしれないと。だが中に入って、すぐに思い直した。出入り口のふたを閉めても、外を走る車の音が聞こえたからだ。空襲のとき、家が焼け落ちる音も響いただろう。証言や記録とは異なる生々しさを感じる土台が遺構にはあった。
春先、足立区の茂出木庄一さ…
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