脱炭素は中央銀行の仕事なのか 日銀の気候変動対策支援

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編集委員・原真人
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 脱炭素(カーボンゼロ)を支援することは中央銀行の仕事として妥当なのか。

 日本銀行は16日、気候変動対策のための投資や融資をする金融機関に対し、ゼロ金利で資金供給をするなど金融政策で支援していく、と発表した。年内にも具体策を始めるという。

 このニュースをNHKをはじめとする主要メディアは総じて好意的に報じている。グリーンや環境という言葉は昨今すべてをのみ込む勢いで「正しさ」の真ん中に座っている。その冠をつければ、あらゆる投資が「良いこと」として扱われる空気がある。だからそれを支援する日銀の取り組みも自動的に「良いこと」に選別されたのだろう。

 もちろん二酸化炭素の排出増が気候変動に何らかの影響をもたらしている可能性はある。削減努力は大切だ。とはいえ世界を席巻しつつある急進的なカーボンゼロ目標については今後より科学的に、より現実的に検討していく余地があると思う。

 その問題はいまは論じない。ここではそこに中央銀行が深く関与していくことの是非を考えたい。そこにも難しい論点があるからだ。

 物価や金融システムの安定を使命とする先進国の中央銀行は、政府から「独立性」を与えられている。金融政策は財政政策と一定の距離をとって独立運用した方がうまくいくと考えられているからだ。

 もし中央銀行が政府の下部機…

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