夫婦別姓でも法的に結婚できるようにして欲しいという訴えは、2015年に続いて再び最高裁大法廷で退けられました。国会での議論を促す司法判断を、別姓も選べる婚姻制度を望む人たちはどのように受け止めたのでしょうか。

 6月23日。札幌市の医療従事者の西清孝さん(29)は、最高裁大法廷が今の制度を「合憲」としたことに怒りがこみ上げた。合憲と判断した理由は短く、さらに「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄だ」と議論を国会に委ねてもいた。

 「だったら、裁判所ってなんのためにあるんだ」

 19年に、同じ職場の佐藤万奈さん(34)と結婚した。姓を変えたくないという佐藤さんとの間で、改姓は「お互いに言い出したくない話題」に。最後は半ば投げやりになった佐藤さんが改姓した。自分の中に、「女性が変えるのが当たり前」という意識があった。

 職場での旧姓使用がかなわず、次第に眠れなくなったり、突然涙を流したりすることが増えた佐藤さんを見ても、どこかで「いつか慣れてくれるだろう」と思っていた。「事実婚」という選択肢も頭に浮かんだが、「でも、それは結婚じゃない」とブレーキがかかった。

ある日の妻の一言、そして離婚届

 職場で佐藤さんが旧姓使用でき…

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