幼稚園児が「初めての鉄道旅」 苦境のローカル線をPR

大野正美
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 地元の子どもたちに鉄道の楽しさを知ってもらおうと、北海道根室市花咲線(JR根室線・根室―釧路間の愛称)の体験乗車の催し「初めての鉄道旅」を今年度から始めた。日ごろ列車に乗る機会が特に少ない保育・幼稚園児を対象に、10月までに市内9施設、計182人の参加を予定している。

 花咲線は今年8月、根室―釧路間が全線開通してから100年を迎える。ただ乗車率は低迷し、JR北海道は「単独では維持困難」としている。「鉄道旅」は路線存続のための取り組みの一つで、根室市が助成して始めた。

 初日の5日には、私立根室つくし幼稚園(佐藤正喜園長)の年長組34人と引率の職員4人が市の郊外でイチゴ狩りを楽しんだ後、厚床駅へ。駅では地元の酪農家らが設置したピアノの伴奏で「手をたたきましょう」などを合唱した。

 午後0時40分、園児たちはJR側が特別に用意した切符型の乗車記念証を手に、特別編成の「道東 森の恵み」号の緑色の車両に乗車。42分後に根室駅に着くと、薄井冠一駅長自ら検印をした。約半数の園児が鉄道に乗るのは初めて。南雲藍華さん(5)は、「駅がきれいで、走る列車も楽しかった。また乗りたい」と話していた。

 根室市は花崎線の存続に向け、ふるさと納税の仕組みを使ったクラウドファンディング(CF)で集めた寄付金で、PR冊子の作成や首都圏での広告などを続けている。CFは2020年度、目標額200万円の25倍以上となる5073万円を集めた。園児の乗車体験は、寄付金から市が計138万円を助成して実施する。

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